| 1冊目:「複雑系−科学革命の震源地・サンタフェ研究所の天才たち」M・M・ワールドロップ | ||||
| 2006.04.16.Sun / 02:05 | ||||
今年度は積極的に書評を書いていこうと思う。たぶん結構な頻度で間違ったことも書いていると思うので、そのときは僕のためにもコメント、メールなどで指摘してくれるとありがたいです。非常にありがたいです。
複雑系と聞いたとき、まず思い浮かんだのが私の学部のことだ。 私の学部は多様な学問を網羅し、それら多くの知識構造を政策に生かすことで、多面的見地から物事を解決することを目的としている。しかしながら現状を見ると、異なった学問同士をいかにつなげるかの方法論がまだ確立していない、言い換えれば横断的な知の統合をなす哲学が出来上がっていないといえるかもしれない。(私個人の推測だが。)。 ただ、戦後(?)急速に横断的な知というものが叫ばれてから50年、我が学部が誕生してから10年余りという短い歴史を考えると、まだまだこれからだというのが大方の意見だろう。 さて、本書は非常に好奇心をかきたてる構成となっている。ベストセラーになったのも頷ける。内容は、複雑系の発信地サンタフェ研究所を巡る科学者たちのドラマとその複雑系理論。ややコンピュータ・シュミレーションに偏っているかもしれないが、それは複雑系で扱う多くの分野を横断的に扱うことができる手法だからだろう。経済学から物理学、コンピュータ・サイエンス、遺伝子生物学、…まで幅広い分野、それもその分野では最高峰の研究者たちが登場し、当然のことながら彼らが語る複雑系には何度も気分を高揚させられる。 文系の私にとって、かなり難解な理論が展開されたので、正直、”複雑系”についての理解は別な入門書に頼ったほうがいいだろう。ただ、複雑系をはじめるきっかけとしては全然十分な内容で、特に読み手のモチベーションを上げる文章のうまさにはお手上げ状態である。 本書で特に印象深かった概念は、自己組織化とロックオン、収穫逓増。 自己組織化とは、生物のように他からの制御なしに自分自身で組織や構造をつくり出す事をいう。 自発的秩序形成とも言いう。(Wikipediaより) 一般的には生物、化学の分野で使われているが、それを経済学にも応用したのが新しい。例えば、1980年代、コンピュータ業界にはMacOSとMS-DOSという画期的なOSが出された。性能では明らかにMacが勝っていたため、研究者たちはこぞってこれを使い始めたが、Macは互換性がなかったため、一般の人にはなかなか受け入れられなかった。対してWindowsは一般の機種でも使えるようにした結果、後者が勝利したのである。この結果、それまでパソコン業界はランダムな状態だったが、マイクロソフトが標準規格となることで、各種ソフトウェアもそれに準拠し、秩序化されたのである。これを経済学の自己組織化してみることもできる。すなわち混沌とした中でも、確実に秩序が保たれる状態へと向かっていく。 また、ロックオンという考えも面白い。 古典経済学では、収穫を増やせば増やすほど、その単位あたりの効用は減るので、収穫逓減の法則が成り立つ。例えば、ブランド物なんかはその典型で、その量が増えれば増えるほどその価値は下がっていく。しかしながら逆の現象も存在するのは確かである。例えばさきほどと同じような例と出すと、iPodの成功はまさにそうだと思っている。確かにiPodは優れてはいたかもしれないが、現在のような市場を8割も制するような力を持っていたかどうかは疑問である。思うに、iPodが出現するまではMP3プレイヤー市場は混沌としていたが、iPodの戦略によって、他の音楽プレイヤーよりもほんの少し多く持つ人が増えたからこそ、さらにitunesによって、さらに持つものが多くなり、持つものが多くなったからこそ、さらに買う者が増え…という構図が出来上がったのである。すなわち、iPodというものにロックオンされ、それを中心に秩序が回りだすと、収穫逓増という現象が発生する。「もてる者、さらに与えられり」なのだ。 とりあえず、まだまだ理解が足りないので、ここらへんで複雑系を語ることはしない。もう何冊か読んだら、もっと複雑系に関するレビューを書こうと思う。とりあえず重要なキーワードだけ列挙。 収穫逓増の法則 ロックオン 複雑適応系 オートマトン クラシファイア・システム 創発 自己組織化 自己触媒セット カオス カオスの縁と自己組織化臨界 エージェント 人口生命 この本は非常に良書だ、と思う。 少なくとも大学生になってから、これほど面白い本は読んだことがない!! ==== よければ、応援クリック!!よろしくおねがいします。 記事の評価もいただければ幸いです。 ![]() ![]()
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